1998年「フォロウィング」で長編監督デビューをしてから、これまで全11作品を作り上げてきたクリストファー・ノーラン。映画レビューサイト「フィルマークス」でも4作品で高評価(4.0以上)を獲得。Fun数も4万人弱と圧倒的な実績と評価を誇り、現代映画のトップをひた走る名監督だ。
そんなノーランの全作品を見た私が選りすぐりのノーラン映画5本をご紹介!
シネマランド編集者の評価とFilmarksや映画comなどの有名媒体の評価を基準にランキング形式でお伝えします!
※全ての映画が対象ではなく、編集部好みの映画12本を軸にランキング形式にしています。
※情報は2024年7月14日現在です。初心者にまずは見てもらいたい映画5作品を紹介!!
第5位「メメント」2001年公開
出演
ガイ・ピアース、キャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノ、マーク・ブーン・ジュニア、ジョージャ・フォックス他
概要
妻を強姦・殺害された上、自身も犯人から暴行を受けた事による障害で、記憶が10分しか続かなくなってしまった主人公レナード。彼は記憶が続かない代わりに大事なことは写真付きのメモと自身の体にタトゥーとして刻むことで生活する。そしてメモとタトゥーを手掛かりに妻を殺害した犯人への復讐を誓う。
ここが凄い
この作品はなんといってもノーランが初めて売れた作品!この作品からノーランの軌跡が始まったといってもいいでしょう(本当は「フォロウィング.1998年」ですが)。その年のアカデミー賞では脚本賞など2部門にノミネートされました。ちなみに元になった原作は弟のジョナサンが書いた「Memento Mori」。ノーランは破天荒な脚本を書くことで有名ですが、当時無名だった彼は様々なクリエイターにオファーするも、ほとんどがお断り。最終的に承諾した撮影クルーは、最初脚本を読んだ時にこれが映画になると思わなかったと語るほど。後にキャリアを築く転換期となったことを考えると、「とりあえずやってみる!」というのも大切ですね(笑)
感想と評価
この映画はもちろん映画をあまり見ない人にもオススメですが、ある程度映画が好きな人に特におすすめしたいです。なぜなら映画の構成がこれまでの映画ではありえないような構図になっていたからです。この映画はモノクロとカラーの2部で構成されており、劇中で交互に挿入されております。少しややこしいのですが、モノクロの映像は順行(現在から未来へ)、カラーの映像は逆行(過去から未来へ)となっており、時系列でいう中間地点がラストとなる構成になっています。時系列が入り乱れるので最初は意味不明な場面も多いです。ですが、徐々にモノクロとカラーを足し算することにより、全貌が明らかになっていきます。ラストでは全てのパズルが一致するので圧倒的な爽快感を感じられますが、やはりこの映画の大きなポイントは”2つのカラーが意味を成している”、”時系列ヘンテコで中間地点がラスト”という点で、視覚的に一線を画す革新的な映画になっています。内容はもちろん、見せ方だけでも十分に楽しめる作品と言えるでしょう!
第4位「プレステージ」2006年公開
■出演
ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン他
■概要
19世期のロンドンを舞台に2人の天才マジシャンのバトルを描くサスペンス。ある水槽脱出マジックでボーデンのミスにより助手である妻を失ったアンジャー。チームを離れた二人はライバルとして意識するようになり、互いのマジックの種に執着していくが…。
■うんちく
この作品から弟のジョナサンが脚本として本格的に製作に参加しています。ちなみに弟は数々の名作を作り出した脚本家の天才で、「ウエストワールド」など海外ドラマをメインに活躍しています。またこの作品で製作総指揮として共に名を連ねたリサ・ジョイと結婚しており2021年9月公開の映画「レミニセンス」では夫婦で製作に励んでいます。主演はヒュージャックマンで、ジョナサン得意のタイムリープ系サスペンスになっているのでめちゃくちゃ楽しみです!
■感想と評価
この作品は「しっかりごらん」というナレーションで始まります。その言葉の通り、目を凝らして見て欲しいです!(笑)概要でも記載しましたが、この映画は二人のマジシャンの話ですが、この映画自体がマジックになっています!ストーリだけでなく映画そのものをマジックと掛け合わせるという斬新かつ革命的なアイデアとトリックが、衝撃的なラストへと導いてくれます。「ノーランにしっかりやられたわ!」と思う映画はたくさんありますが、1番強く思わされるのはこの作品です。それくらい全てを知った時に衝撃は凄いです。。。またこの映画には”犠牲”というワードも一つ重要なポイントで、トップになる為に手段を選ばない男たちの姿も胸に刺さる作品になっていると思います。
第3位「インセンプション」2010年公開
インセプション【Blu-ray】 [ レオナルド・ディカプリオ ]
■出演
レオナルド・ディカプリオ, 渡辺謙, ジョセフ・ゴードン=レヴィット, マリオン・コティヤール, エレン・ペイジ, トム・ハーディ他
■概要
人が眠りについている間に、夢に潜り込み情報を抜き出す凄腕エージェントたちの物語。そのスペシャリストのコブは、才能があるが故に最愛の妻を失ったあげく国際指名犯になってしまう。彼は平凡な生活を取り戻すために、超難関ミッション”インセプション”に挑むことに。
■うんちく
なんといっても衝撃なのが、ノーランがこの作品の構想に20年もの月日を費やしていたこと。それも夢に興味を持ち、夢の作品を作りたいと思い始めたのはまだ子どもの頃だったそう。そんな念願の作品となった本作に出演しているマイケル・ケインは、脚本に目を通した際「どこからが夢で、どこまでが夢なのか?」と一言。それに対してノーランは「君が出ているところは現実だ」と伝えたそう。ということは…..
■感想と評価
この作品はかなり難解な作品となっており、まさにノーラン節炸裂!といったところでしょうか。夢の中のスパイアクションなんて取れるわけないだろ!って多くのクリエイタが思ったそうですが、この非現実的なアイデアがめちゃくちゃリアルに計算されているのがポイントです。例えばこの映画では第一階層、第二階層、第三階層と、主人公たちが夢の中の夢へと潜り込んでいくのですが、階層が下になるにつれ時間のスピードが遅くなるのです。確かに実際でも夢を見ている時間は数時間なのに、体感的には何日も夢の中にいた!という感覚になりますよね。こんな感じで非現実的な映像をリアルの感じさせられるのはこの映画の見どころですし、ノーランにしかできない技です。また「どこからが夢で、どこまでが現実か」というのは作品を通しての重要なテーマなので、見終わった後にとにかく作品のことを考えてしまうでしょう。
第2位「TENET」2020年公開
TENET テネット [ ジョン・デイビッド・ワシントン ]
■出演
ジョン・デイビッド・ワシントン, ロバート・パティンソン, エリザベス・デビッキ, ケネス・ブラナー他
■概要
未来人が作り出した核兵器によって時間軸を逆転させることが世界で、名もなき男が奮闘するスパイアクション。この時間のルールが除外された世界で、名もなき男は神流滅亡を防ぐことができるのか!?
■うんちく
うんちくはいっぱいありますが、強いて言うならば順行シーンの最中で、逆行シーンが織り交ぜられていることですかね(笑)。例えば最終決戦の挟み撃ち作戦のシーンでは、ニースが途中で主人公を助けるために、逆行マシンを使うことになりますが、敵がいないか確認している時、画面右上をよく見てみると、後ろ向きに走っているニールが映し出されています(残り20分45秒の所)!
■感想と評価
僕は劇場で3回目見ることになりました。それくらい面白い作品なので1位にするかとても悩みました!この作品は死ぬほど難解なので、理解しようとするのではなく、感じながら楽しむことをオススメします!というのもやっぱり順行の映像と逆行の映像(後ろ向きに進む映像)が、入り混じる斬新な映像がとにかくクセになります!特にカーチェイスでは、後ろ向きに進む車を追いかけるという意味不明な映像が飛び出してきます。この辺りは感覚的にめちゃくちゃ楽しめる映像なので、なぜこのようなことが起きるのかとは考えずに見てください!そして前半は基本的には前向きに時間が進むのですが、後半では前になったり後ろになったりします。そして前半に仕掛けられた伏線を、後半で革新的なアイデアと共に回収しまくるので、理解できなくても最後まで見続ければ、爽快感が待ち受けています!
【映画ポスター】 TENET テネット クリストファー・ノーラン /インテリア アート おしゃれ 約69×102cm /フレーム別 /ADV-両面 オリジナルポスター
第1位「インターステラー」2014年公開
■出演
マシュー・マコノヒー,アン・ハサウェイ,ジェシカ・チャステイン他
■概要
砂嵐により地球滅亡が近づく近未来の地球が舞台。元宇宙飛行士のクーパーは、愛する娘のため、そして人類のために、移住可能な星を見つける”ラザロ計画”を成功させるべく宇宙へと旅立つ。
■うんちく
この映画はもちろん監督も脚本もすごいですが、製作人の一人でもあるノーベル物理学賞を受賞しているキップ・ソーン氏がいるのも大きいです。重力による相対性理論を映画の中でリアルに描いているのは、このキップ・ソーンがバックにいるからだと断言できます。特に彼が緻密に分析したブラックホールのビジュアルは、後に実物が撮影された際、限りになく現実のものに近かったと大きく話題になりました。
■感想と評価
やっぱりこれは外せません。家族の愛、壮大な宇宙の映像、衝撃的なラスト、伏線の回収、数えきれない素晴らしい要素が詰まった作品です。そしてSF映画と称されながら、この映画が表現する”愛”に涙が止まりませんでした。宇宙へと飛び立つメンバーは、NASAの人たちで常に理論という鎖に縛られています。ですが彼らが人類を救うため、科学という理論といわゆる空想的な愛の力と本気で向き合う姿に大きな感動と深い意味合いが詰まっています。臭いことを言いますが、愛の力というものは目に見えないですが、それが実際に起こりうる力であるということを教えてくれる素晴らしい作品に仕上がっています。
以上!是非何の映画を見ようか考えている方は、上記の中から選んでみてはいかがでしょうか!
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